7月5日に画家・松山修平さんの講演会「素顔のイタリア」が、茅ヶ崎地区コミュミニティーセンターで開催されました。I A Cの会員のみならず、多くの一般の方にもご来場いただき、100名近くの聴講者が熱心に耳を傾けました。
松山さんは、21歳の若さでイタリアへ渡り、約半世紀イタリアに在住され、イタリア、日本、アメリカを拠点に、個展やグループ展を開催されています。また、伊丹空港JALのVIPラウンジ、イタリア・リエティ市のモザイクの噴水、ヴィメルカートのロンバルディア州にある総合病院の霊安室壁画、サウジアラビアのフォーシーズンズホテル、客船飛鳥のロイヤルスイートルーム、など多数手がけています。
第一部では、なぜイタリアを創作の拠点に選んだのかが語られました。1300年代の建築や絵画が今も街中に残っていることに触れ、「時間の流れがゆったりしていて、日本にはない感覚を感じられたから」また、「イタリアの人々の生活の中に、絵画が自然に存在していることに惹かれたから」だそうです。観光地ではない、暮らしの中の“素顔のイタリア”が、松山さんの創作の原点となっているようです。
第二部では、実際の作品を紹介しながら、その技法や見え方について詳しい解説がありました。作品にはフレスコ画の技法が用いられており、「見る角度や光の加減によって、色の濃さや印象が変わる」とことを説明されました。そして、作品のテーマ「Shin ~on」は、“心の音”や“真の響き”を意味し、人間の記憶や感情の奥底にあるものを、色彩や構図を通して表現しようとしていることにも触れられました。松山さんの作品にはタイトルがありません。「無題」と言うタイトルでもありません。「観る人自身が、空間や時間を感じて考えてほしいからだそうです。松山さんの静かな語りと、深い眼差しが印象的な講演会でした。
今回の講演は、松山さんの奥様が茅ヶ崎のご出身というご縁もあり、実現しました。休憩時間には、奥様からイタリアのコーヒーで作ったアイスコーヒーをご提供いただき、終始和やかな会となりました。
*当講演については、茅ヶ崎市のホームページにも掲載されています。
https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/himekuri/1064052/1064494.html